2008.06.06 (Fri)
『怪談の科学PART2 たたりじゃあ〜』 (中村希明)
![]() | 怪談の科学〈PART2〉たたりじゃあ〜 (ブルーバックス) (1989/07) 中村 希明 商品詳細を見る |
★★★★☆
PART1では、幽霊が見えるなどの心霊現象、
雪山や砂漠など過酷な環境下で体験しやすい幻覚や幻聴について、
精神医学の観点から解説していました。
(その本の感想文はコチラ)
PART2では霊や悪魔などのによって引き起こされる怪奇現象について解説しています。
人間、後ろめたいことがあるときにショッキングな事件に出くわすと
「これは日頃の行いが悪いのか?」とか「何かの祟りかな?」とか
人じゃない何かの力が自分を苦しめているのだ、と考えてしまうもの。
しかし「悪霊のしわざ」「祟り」は本当にあるのかどうか、
これはいまだに分かっていません。
ということで著者の出番。
前作では幽霊も妖怪も幻覚によってもたらされる現象であって、
要は「気のせいだよ。疲れてるんじゃないの?」なんですよ、
と心霊現象をメッタ切りにしてきただけに、
こいつ怖いもの無しだな!という印象を持ったわけですが、
何と今回はその無敵なはず(?)の著者が祟りにビビるという話からスタート。
実際は重病ではではないのに、
専門の医師に重病らしい診断をされて凹んでしまい、
体調は悪化、精神も不安定になってしまうんですが、
別の医師に「検査したら大した病気じゃなかったよ、あっはっは」と告げられた途端
体も心も一気に健康を取り戻したというエピソード。
ビビり方があまりにリアルだったので笑いながら読んでしまいました。
でもこれは多くの人に経験があるものだと思うんですよね。
まさに「病は気から」なんだということです。
つまり、本当のことではないのに、
それらしい人がそれらしいことを言って、それらしいものを見せられてしまうと、
人はそれが本当のことのように信じてしまうということです。
本書では平安時代の奇妙な話を集めて作られた『今昔物語』を紹介しつつ
いくつかの奇怪な現象について解説しているんですが、
著者が医師の診断結果に一喜一憂したのは
平安時代の専門家である陰陽師や法師の言動に振り回される人々と同じだった、
ということですね。
昔の陰陽師や悪霊払いにしても、近代の奇術師にしても、
道具や演技など、パフォーマンスとして民衆を大いに納得させることで、
奇跡の力を信じさせることができるということで、
本当に超能力を持っているとは限らないということ。
実在していなくても、しているように思い込む、思い込ませることは可能である。
こういう証明の仕方はPART1と似ていますね。
他にも1人の人間の中に複数の人格が存在する多重人格だとか、
集団が一斉に奇妙な行動を起こす事件だとか、
そういうことに関しても説明が及んでました。
これも何かが乗り移ったというわけではなくて、
慣れない場所で精神が不安定なまま長い時間過ごしていると
あるとき一気に爆発して異常行動をとることがあるんですよ〜的な話。
PART1の方が、幽霊とか亡霊とか幻とか過激なものを扱っていたせいか、
PART2ではちょっと地味で退屈に感じてしまうところはありました。
でも「病は気から」体験は面白かったですし、
2作を通じて、人の精神と行動の関連に興味を持てたのはよかったです。
タグ : 中村希明
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